ハーバード経営大学院の教材になった新幹線清掃員の人材教育

0215160154毎日新聞

昨年の秋にJR東日本の新幹線清掃を行う会社のJR東日本テクノハートTESSEI(テッセイ)の
革新的な人材教育手法が取り上げられ、アメリカのハーバード経営大学院の教材として使われることになり話題を呼んだ。

新幹線の清掃というと、JR東の場合折り返しの東京駅で停車するのは約12分間
乗客の乗降時間を除くと、清掃に充てられるのはたったの7分間

【奇跡の7分間】と幾度となくテレビにも取り上げられ、テキパキとした作業にはアメリカのCNNでも放送されたほど話題の仕事っぷりであったが現場の実情はとても厳しかった。

同社は約10年前までは【清掃業】という職種柄か苦情がとても多く、従業員の士気も上がらないなど問題を抱えている企業であったらしい。

「きつい」「汚い」「危険」の3K職場で離職率が高く、トラブルを減らしたい上司は叱責で現場を押さえつけるばかりで、従業員が萎縮する悪循環に陥っていた。
出典:毎日新聞

そこでJR東日本から送られた刺客のひとり
当時の経営企画部長として送り込まれた矢部輝夫さん(69)の存在だった。

この人の説明は省くとして、この人が最初に行ったのが従業員に対するヒアリング

そこで彼が目の当たりにしたのが現場の従業員たちは

「自分たちはダメだ」と思い込んでいることが真っ先にわかったという。

そして彼が行ったのは制服をレストラン風の明るいデザインに変え、清掃する新幹線の車両を
”従業員が清掃の技量を見せる”「劇場」と呼んだりして職場の雰囲気を一新することからはじめたらしい。

働く彼らに自信と誇りを持たせることに注力したのだった。

それから、現場からの提案(夏はアロハシャツ)、(帽子に花飾り)などに一切ノーと言わず、仲間の良いところを
報告してもらうようにしながらも、

単に馴れ合いにならずに仕事のクオリティを向上させるために、たとえ清掃員であっても幹部登用にも道を開くことで士気を高めながら、遅刻を重ねるとボーナス減額など信賞必罰も徹底するようにした。

お判りいただけようか?

私は金銭的な動機付けだけで、ほとんどの組織は問題の解消ができると思っていた。
がしかしこの人のやり方は、もっと先を行った方法で一歩抜きんでていた。

それは、管理強化ではなく、従業員の意欲を高めて生産性を改善させているところにあると思う。

最初は選択教材として取り入れられていたのだが、
あまりの生徒たちの反響の大きさに必修教材として取り上げられたのである。

教材に採用したハーバード経営大学院のバーンスタイン助教授はこういう

「リーダーシップとはコントロールすること」だと…。

日本人の私たちからするとコントロールと聞くと、なんか操ったり操られたりあまりいい意味に聞こえてこないけど、本来コントロールとは”自発的に動かすように仕向ける”ことなんだと再認識させられた。

経営者の方はもちろん、そうでないサラリーマンであっても私のような中間管理職にある人はみな、このやり方から多くのことを学べるに違いない。

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